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YKK健康管理センター
受賞:2008年度グッドデザイン賞、2010年日本建築学会作品選奨

-環境をランドスケープとしてデザインする
21世紀の日本は、そして世界は「縮小」を基調とせざるを得ず、建築も都市も 「縮小」のデザインとして構想すべきだと考えている。「縮小」は直接的には人口減 少と地球環境問題の両方で引き起こされているが、根本は人間が、人間の夢をひたすら追求してきたということの結果である。物質と人間活動で飽和した地球には抑 制と調整が不可欠になりつつある。このことは、最近の世界同時不況の推移を見て いても納得できることである。 YKK黒部工場は基幹工場として、会社の発展に合わせる様に拡張と改築による工 場の増床を行なってきた。しかし、世紀が変わる頃から生産ラインの一部が海外に 移転されるようになり、工場敷地に空きが出来てきた。そこで、工場の正面地域に 森を育て、小さな文化厚生施設を整備することになった。 森の整備は一種の企業の社会貢献の新たな形として構想され、苗木から育てて郷 土の植生を再生する。森は市民に開かれた公共性をもった場として、また、企業の精 神的シンボルである。そのなかに、企業の技術開発の歴史を展望する「丸屋根展示 館」、全社員の健康情報の管理と黒部地区の社内診療所を兼ねた「健康管理センター」、「古御堂守衛所」、ソフトボールコートなどが整備された。 30年も経てば、照葉樹を中心に地域固有な樹種が混じる深い森がここに日の光を浴びて輝き、そのなかに建築はひっそりと身を沈めているはずである。 縮小の時代の環境整備の課題を計画論的に表現すれば、「あるものを最大限生かす」ことであり、それをデザイン論的に表現すれば、「環境をランドスケープとして デザインする」ことである。つまり、地形も植栽も構築物も全て等価に人間のため の環境としてデザインの対象とするのである。

やがて育つ郷土の森と開放的で明確な輪郭をもつ芝生の広場(ルーム)を対比的に扱うランドスケープデザイン

やがて育つ郷土の森と開放的で明確な輪郭をもつ芝生の広場(ルーム)を対比的に扱うランドスケープデザイン

地下躯体用の金網製の型枠を使い残置することで、徐々に 鉄錆びがコンクリート表面を覆い時間の蓄積を感じさせる 「錆び」壁


動物や植生の湿地が織りなす 多様な森の表情を創りだしま す。

配置図

大地に繋がる「錆び」壁と、その上に浮かぶ白い屋根

配置模型

-建築とランドスケープを等価に扱う環境デザイン-
工場レイアウトの再編成により空いた用地を、幼木から育てて郷土の森として再生するYKKセンターパーク構想の一 部である。
森のなかには、いくつかの「ルーム」と名付けた、芝生張りで矩形のオープンスペースを確保しているが、健康管理センターは「ルーム」の二辺を限るように壁面を 配置した。
これは建築をランドスケープのなかに置くオブジェクトにしないで、両者の一体化を目指してのことである。外壁面はRC造で、地中梁に使用されるラス型枠を使用 し、仕上げの一部として残した。ベニヤ型枠による南洋材の使用を減らすだけでなく、ラス金網が徐々に錆びコンクリート面を茶色に染めて、時間の経過を刻印する効果を期 待している。一方屋根面は白く薄い板として軽快に浮かせ、内部機能に応じて跳ね上げて内部空間の量を調節し、壁と屋根の隙間から光を取り入れた。


森を背景とした診察室

食堂

待合コーナー
作品名 YKK健康管理センター
所在地 富山県黒部市吉田200
主要用途 診療所
建築主 YKK株式会社
設計
建築・監理 アプルデザインワークショップ
担当:大野秀敏 吉田明弘* 木村留美* 田口佳樹* ( * :アプル元所員)
構造 構造設計集団〈SDG〉
担当:高橋一正
設備 総合設備計画
担当:若松宏 上玉利直也
施工 第一建設
規模
敷地面積 12,701㎡
建築面積 995.26㎡
延床面積 976.21㎡
建蔽率 7.84%(許容:60%)
容積率 7.69%(許容:200%)
階数 地上1階
敷地条件
地域地区 工業専用地域 防火地域指定なし 都市計画区域内
道路幅員 北14m 駐車台数 35台
構造
主体構造 鉄筋コンクリート造
基礎 直接基礎
空調設備
空調方式 空冷ヒートポンプ式ビル用ƒルチエアコン
電源 電気
衛生設備
給水 加圧給水方式
給湯 局所式
排水 公共下水道方式
電気設備
受電方式 6kV高圧1回線受電方式
設備容量 電灯150kVA 動力200kVA
防災設備
消火 消火器
その他 自動火災報知器 非常用照明 誘導灯
工程
設計期間 2006年10月〜2007年6月
施工期間 2007年6月〜2008年2月
外部仕上げ
屋根 メカニカルウレタン複合防水
外壁 メタルラス型枠打ち放し
開口部 アルミサッシ
内部仕上げ
待合コーナー・食堂
床 サクラフローリング(ワックス拭取り)
壁 PBt=12.5mmAEP コンクリート打ち放しAEP
一部メタルラス型枠打ち放し
天井 コンクリート打ち放しAEP
診察室・検査室
床 リノリウム
壁 PBt=12.5mmAEP コンクリート打ち放しAEP
天井 岩綿吸音板 一部コンクリート打ち放しAEP
掲載:新建築200901/166-175、選集2010/132-133、建築ジャ−ナル200911/、『日本新建築1 緑色建築』,大連理工大学出版社,102-109, 2009