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はあと保育園新山口
受賞:2016年日本建築学会作品選奨 / 第56回BCS賞 / 平成27年度日事連建築賞 優秀賞 / 2015年度グッドデザイン賞 /
JIA中国建築大賞2015 優秀賞 / 2015年度キッズデザイン賞 /第11回こども環境学会 デザイン賞/ 第四回山口市景観賞 最優秀賞

南側外観。山口県山口市に建つ。 鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)の2階建て。最大計画人数 120人の認可保育園.隣接する公園との境界をメッシュ素材の低いフェンスにすることで視覚的に連続させている.南隣には同じ社会福祉法人が運営する老人福祉施設があり、食事サービス施設やビオトープなどを共有している。

遊戯室・ランチルーム前外部階段より園庭を見る。 安全性を考慮して2階テラス部分は全体をアルミ被覆したひし形金網で覆い、壁面緑化の支えとしている。
はあと保育園は、RC造地上2階建の最大計画定員180名の認可保育園である。
大振りで雑多な用途の建物が並ぶ前面道路側は、敷地間口一杯のファサードとし存在感を示す。一方、裏側では建物を北側に寄せ、街区の中心にある近隣公園と連続させて園庭をとり、2階屋上は陽当たりと眺望に恵まれたテラスである。公園に向かって下がる階段状の断面構成として、手摺と屋上を積極的に緑化し公園から続く地形のように扱う。2階のバルコニーやテラスや窓面を金網で覆い、安全性を高め、絡まる植物とともに多層の柔らかな表層とした。
2階外部と屋上の床は、ウッドデッキによる2重屋根構造を用い、真夏の直達日射を防いでいる。保育室の南側に、1階はコンクリートの庇(出が2.8m)、2階はガラス庇(2.4m)を設け、夏の日差しを遮り、雨の日でも窓を開けて通風を得られる。大きな庇は園児にとって充分な半外部空間となる。

全体配置図

外部通路は緑化された金網に囲まれ、ガラス庇(出が2,400mm)がかかる。保育室壁面は土壁風の左官仕上げ。

1階保育室。各保育室は完全に仕切らず、間には子ども用トイレや沐浴室、調乳室を配置。机や椅子など基本的な家具はオリジナルで設計している。
前面道路側を送迎用の車寄せとし遊戯室兼食堂のピロティを介して保育室と園庭に繋がり、更に歩専道側の裏口に繋がる。広いピロティは親の送迎にも雨天時の外遊び場にも使える。ピロティの一角の職員室からは、前庭と園庭の両方を見渡せ、園児を見守り訪問者の出入りを監視できる。2階に設けた年長組の保育室には、室内からも上れるが、外からも遊戯室兼食堂の南側を巻くギャラリー階段を使って行ける。天井高を2.2mとして、梁型のない厚さ350mmのボイドスラブを 採用し、更に天井懐を省略して不燃吸音断熱材を吹き付け、階高2.78mを実現して上下階の距離を縮める。建物全体を遊具と考えた。幼心に刻み込まれる心象風景の一つになれば本望である。

天井高さ3,750mmの遊戯室・ランチルーム。西日を遮るスクリーン越しに外部が見える。トップライトは換気窓としても機能する。

地域開放を前提とした創作活動室。隣地公園側に設けられ、全周ガラス張りの明るく開放的な空間。

西側メインエントランス。間口一杯にボリュームを配置。折り曲げたエキスパンドメタルによりボリュームを覆うことで2階遊戯室・ランチルームへの西日を抑制。1階ピロティは子どものスケールに合わせて階高を低く抑えている (2,780mm,ボイドスラブの直天で天井高2,200mm) 。右側には3〜5歳児保育室がある2階へ続くギャラリー階段、未満児用保育室へはピロティを抜けてアプローチする。

1階平面図

2階平面図

屋上平面図

断面詳細図

南側園庭より見る。階高を低く抑え地面との距離の近い2階レベル。

屋上の排煙トップライトを側面は金網、頂部はFRPグレーチングによって遮光と植栽を兼ねている。

ウッドデッキテラス。2階と屋上に広々としたテラスを設け階段で立体的につなぐことで、子どもたちが走り回って遊べるように計画している。

出が2,800mmの庇下空間。

断面図

立面図
作品名 はあと保育園新山口
施工 安藤ハザマ 広島支店
所在地 山口県山口市小郡平成町1-20
英文作品名 HEART NURSERY SCHOOL
設計 建築 アプルデザインワークショップ
構造 MID研究所
設備 総合設備計画
施工 安藤ハザマ 広島支店
敷地面積 1,864.24m2
建築面積 807.59m2
延床面積 1315.63m2
階数 地上2階
構造 鉄筋コンクリート造 一部鉄骨造
工期 2013年9月〜2014年3月
建主 社会福祉法人 青藍会 理事長 阿武義人
設計─────────────────
建築 アプルデザインワークショップ
担当/大野秀敏 江口英樹 山本真也 高野菜美
構造 MID研究所
担当/加藤征寛 牧聖也
設備 総合設備計画
担当/若松宏 岡正浩 鈴木智仁 兵道哲 古川順基
監理 アプルデザインワークショップ
担当/大野秀敏 江口英樹 山本真也
植栽 四季の企画社
担当/矢野八州徳
施工─────────────────
建築 安藤ハザマ 広島支店
担当/青木茂 吉開治宏 福田幹也
設備 中電工
担当/中村清治 山根宏二郎
規模─────────────────
敷地面積 1,864.24m2
建築面積 807.59m2
延床面積 1315.63m2
1階 710.45m2/2階 605.18m2
建蔽率 43.86%(許容:80%)
容積率 71.11%(許容:500%)
階数 地上2階
寸法─────────────────
最高高 10,500mm
軒高 7,500mm
階高 保育室:2,830mm
天井高 保育室:2,210mm
主なスパン 7,200mm×8,000mm
敷地条件─────────────────
地域地区 商業地域 防火地域 都市計画区域内
道路幅員 東10m 西14m
駐車台数 12台
構造─────────────────
主体構造 鉄筋コンクリート造(球体ボイドスラブ工法 EIFS JAPAN) 一部鉄骨造
杭・基礎 深層混合処理工法
設備─────────────────
環境配慮技術
太陽光発電10kw 井戸水散水利用 屋上緑化 壁面緑化 ビオトープ
空調設備
空調方式 個別パッケージ方式、ガス温水床暖房
熱源 電気、ガス
衛生設備
給水 直結直圧給水方式
給湯 ガス局所方式
排水 公共下水道方式
電気設備
受電方式 既設高圧受電設備に増設
設備容量 450kVA(既存含む)
契約電力 220kVA(既存含む)
防災設備
消火 消火器設備
排煙 自然排煙
その他 自動火災報知設備 誘導灯 非常用照明 避難滑り台(富士産業 スカイフロウM-A1W・ST-0)
昇降機 乗用エレベーター(三菱電機 AXIEZ P11-CO-45)
工程─────────────────
設計期間 2012年5月〜2013年8月
施工期間 2013年9月〜2014年3月
外部仕上げ─────────────────
屋根 超速硬化ウレタン複合防水接着工法(保土谷パンデックス建材 HCスプレーP)、塩ビシート防水(ロンシール工業 ニューベストプルーフ)
外壁 版築風左官塗り仕上 (丸浩工業 珪藻ファームコート)、アルミ被覆鋼線ひし形金網 (小岩金網 ASネット)、シリコン製透明着色撥水材(エスケー化研 セラミクリートクリヤー)、エキスパンドメタル(四国メッキ HDZ40)、金属サンドイッチパネル耐火t50(日鉄住金鋼板 耐火イソバンドBL-H)
開口部 アルミサッシ(YKKAP)、垂直開閉式トップライト(菱晃)
外構 環境配慮型土舗装(美松工業 MKサンド)、マニルカラ材ウッドデッキ(ニッシンイクス トレム)
内部仕上げ─────────────────
保育室 遊戯室 子育て支援室 職員室
床 シートフローリングt12(エコメッセージSパートナーワン ハードメープル)
壁 PBt12.5+シナ合板t5.5 OSCL塗装
天井 ノンフロン湿式不燃吸音断熱材t25(エスケー化研 セラミライトエコG) EP塗装
創作活動室
床 長尺塩ビシートt2.5 (サンゲツ エスリューム・ミスト)
壁 PBt12.5+シナ合板t5.5 OSCL塗装、鉄骨柱耐火塗料(エスケー化研 SKタイカコート)
天井 PBt12.5+岩綿吸音板t9.5 (吉野石膏 ソーラトンスターダスト柄)
主な使用機器─────────────────
太陽光発電 長州産業
照明器具 山田照明、東芝ライテック、パナソニック
衛生器具 TOTO
厨房機器 ホシザキ
床暖房 ジャスト東海