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ハートハウス成城+はあと保育園成城
認可保育所との幼老複合施設

「ハートハウス成城+はあと保育園成城」は、地域密着型特別養護老人ホーム(29床、二〜四階)と東京都認可保育所(定員60名、一階)を複合した建物である。世田谷区は、区有地を定期借地権で活用して、二つの施設の複合建築と運営を条件とする事業者選定プロポーザルを行い、山口県山口市に本拠を置く社会福祉法人青(せい)藍(らん)会を選定した。敷地は、東京都世田谷区の住宅地の中にある。
保育所と高齢者介護施設を連携して立地運営することは「幼老複合」とか「幼老一体」と呼ばれている。青藍会も早くから「幼老複合」に着目し、オランダの先進事例の視察を重ねて、数年前に本拠地の山口市で実績を積まれている(園舎は我々が設計を担当した)。一方、この二つの施設はいずれも住宅地では迷惑施設の扱いを受けることが多くなっているが、幸い大きな衝突もなく受け入られた。この地域の住民の方々の理解が大きな理由であることはいうまでもないが、多くの住民にとっても、「幼」か「老」のいずれかは我がことであるからかもしれない。

道路側 北側立面図

既存の森の一部のようにも見える外観
成城は住宅地としての歴史が長く、首都圏では環境の質が高いことで有名であるが、それを支えているのは成城憲章に象徴されるような住民のたゆまぬ努力である。地形から見ると、成城は国分寺崖線と呼ばれる多摩川の河岸段丘で限られる。かつては多摩川に沿って連なる長い線状の緑地も現在は消滅しているところが多いが、このあたりは公園(成城三丁目緑地)として保全されている。本敷地はこの緑地に隣接しているので、敷地内の木々を極力保存するために、樹木を敷地外へ移し工事後に再び敷地内へ戻した。また、コンパクトな平面を追求することで建蔽率42.26%を実現(第二種風致地区の建蔽率上限は47.5%)して環境への影響を最小化した。具体的には、二階より上の地域密着型特別養護老人ホームは中廊下形式とし、一つのスパンに2居室を配置し、居室の間に水回りとPSを組み込み、共同生活室を南側に配置した。いたって合理的で幾何学的な平面形式は、四周の緑溢れるバルコニーが補い、潤いのある環境になっている。
高齢者施設であることから消防法では避難施設として建物全周に有効復員1.2m以上のバルコニーが求められるので、これを積極的に環境施設、生活施設として位置付けている。すでに上記山口県山口市で実績のある手摺緑化の手法を発展させた。手摺にアルミ被覆した金網を用いて、足元に自動灌水付きプランターを並べている。これは言って見れば「空中生垣」である。手摺緑化のいいところは、壁面緑化と違って、居住者も緑の恩恵にあずかれることである。

保育園:1階部分

特養:2~4階部分





保育園:1階部分 乳児室〜保育室
幼老複合とすることで、事務室及び調理室の連携による省スペースに加えて、相互の交流がある。高齢者は緑化バルコニーから階下の園庭を眺め、子供たちは外部階段を使って階上の緑化バルコニーを訪れることができる。また地域密着型特別養護老人ホームは24時間の運営体制であることから、子供の見守りや安全に安心感を与えている。

緑化フェンスと、保存樹木を常時見ることができる共同生活室

断面詳細図
