top of page

NBK関工園MEMEセンター&元気亭
受賞:1998年中部建築賞 / 第五回岐阜県21世紀ふるさとづくり芸術賞優秀賞

nbk_meme_2.jpg

北側全景。正面のガラスの棟が事務施設である「MEMEセンター」、右側奥がアスレチックジムなどの厚生施設である「元気亭」。

meme (7).png

​配置図

1998年新建築の文章

建築群の文脈
「MEME (mecha -tronics, mechanics) センター&元気亭」は、6年前に私たちが設計にかかわった「NBK関工園事務棟・ホール棟」(本誌9210)と同じ敷地内にあり、工場での生産管理のための事務施設とアスレチックジム、およびその関連諸室との小さな複合施設である。当然のことながら、新しい建物をどのように既存の工場群の中に位置づけ、それを6年前の「事務棟・ホール棟」といかに関係づけるかを大いに意識した。
そのために、「事務棟・ホール棟」で用いた形態操作のいくつかを新しい建物にも加えた。それにより,この工場敷地内の建築群に、ある種の形態の文脈をつくろうと考えたのである。そのひとつは要求される機能をひとつの棟に納めるのではなく、明確に性格づけられた複数の棟の集合として構成したことである。ふたつめは地形を意識し、周辺の風景に反応するようにしたことである。この結果は、今回の設計では、ふたつのレベルの1階床と傾斜した屋根として実現している。3つめは両者とも部分的に平面形に円形の幾何学を用いたことである。

「事務棟・ホール棟」のホールの円筒、社員食堂の西側の2分の1円の選んだ庭。そして「MEMEセンター&元気亭」の型枠コンクリートブロックによる4分の3円がそれであり、これらは厚生施設に対応している。「丸い形は厚生施設である」というローカルな記号的関係が成立することを期待している。4つめは両者の建築のマッス構成の要となっている白い壁である。これをエ場全体の配置の中で見れば、敷地の両端で対峙しており、それによって工場の境界を級やかに画し。領域を張っている。
インフォーマルなパビリオンもちろん両者には違いもある。それは主にプログラムと工場内での位置の違いによっている。両者とも敷地の端にあるのだが、「事務棟・ホール棟」は敷地へのアプローチ側で台地の端にあり,「MEMEセンター&元気亭」は敷地の一番奥で山の裾に接する場所に位置する。つまり前者は外部との境界にあり、来客を迎え、地形のレベル差も大きいので、フォーマルで、特にアプローチ側から眺めたとき堅固でダイナミックな構えが与えられた。一方後者は内奥で、地形の勾配もわずかであり、出入りは社員に限られているため、インフォーマルなパビリオンとでもいうべき性格に収斂していった。
インフォーマルな性格は、主に住宅的な材料選択によって表現されている。具体的には、構造・仕上げの両面で積極的に用いた木材、型枠コンクリートブロックやしっく
い壁などの住宅的スケール感と質感をもった材料の使用である。パピリオン的性格は配置と空間の透明性が関連している。透明性とは、具体的には建物の中で人びとが働<様子がうかがえる、建物を通して向こうの緑を透かす、建物を通して別の建物が見えるなどであり、物理的にはガラスの使用と各部位の扱いの軽さが関係している。たとえば、ガラス棟の1m間隔の柱にサッシの方立を兼ねさせ、柱と梁の剛接合の交差部を開放することにより、支持体としての構築性を消そうとしている。同時に、このジョイント形態により、屋根端部が跳ね上がり、パラペット的な要素を省略することが可能になり、これも軽さと透明感につながっている。

nbk_meme_1.jpg

元気亭西面を見る。屋根は地形に合わされて傾斜している。

nbk_meme_5.jpg

MEMEセンターと元気亭を見る。MEMEセンターは1m間隔の柱はサッシュの方立を兼ねている。壁面がガラスであるため、南側の緑までが透けて見ることができる。

meme (6).png

北側立面図

meme (5).png

断面図

nbk_meme_7.jpg
meme (4).png

MEMEセンター北側壁面断面詳細

アスレチックジムからMEMEセンターを見る。

nbk_meme_3.jpg

MEMEセンター事務室。元気亭の柱の色が黒であるのに対して、こちらは白で仕上げられている。柱には​アルミキャストブラケット用に15φの穴があけられており、日よけルーバーや書棚、スリッパ棚、傘立てなどが自由に着用できる。

meme (8).png

外壁架構システム

meme01 (1).png
meme01 (3).png
meme01 (2).png

MEMEセンター南面に取り付けられた日除けルーバーなどの金物は建主である機械部品メーカーの鍋屋工業が製作したもの.*

元気亭西側に設けられた中庭。*

MEMEセンター南側の中庭。正面・左は元気亭。

nbk_meme_4.jpg

階段見下ろし

meme (2).png

1階平面図

1998年新建築の文章

対立する形態要素

しかし、この建物の設計の真のテーマは、対立する形態要素を積極的に導き入れ、いかに多様な場を用意できるかにあり、誤解を恐れずにいえば、軽く透明だとか住宅的だということは二次的なことでさえある。

たとえばこの建物には「鉄件による背組み

構造/式のコンクリートブロック造」という対立がある。この対立は構造方式に留まらず、「構築的/被膜的」の対立にも,また「工業的/住宅的」にもなっている。ガラス棟とコンクリートブロック(CB)棟の「開放的/閉鎖的」という空間の性格の対立もある。そしてまた閉鎖的なCB棟の中にも、1階の壁構造と2階のテントのように張られた鉄骨フレームが「構築的/被膜的」という対立をつくり出している。色彩における「白/黒」の対立もある。こうした材料,構造、空間の属性の対立に加え、ひとつの棟にしないで細かく分棟にして、その間にL字型の中庭を取り込んでいることもまたこの建物の複雑さを高めている。

なぜ複雑であらねばならないのか、それはこのわずか400mあまりの領域の中にさえも、いくつかの性格をもった場所をもつべきだと考えたからにほかならない。それは、この建物だけの問題として考えたのではなく、むしろどのスケールで「部分」を取り出しても(たとえば棟,プロジェクトの単位,工場全体・・・·•)当の部分がそれなりに多様な場所の選択肢を提供し、より大きな全体(これも多様な選択肢を提供することになる)の形成に参加するという一種のフラクタル的。つまり部分と全体が相似になるような、部分と全体の関係を思い描いたからである、大きな全体の中に位置づけられた部分的な役割を演ずるだけの部分ではなく。どんな部分にもひとつの宇宙が感じられながらも、しかし自足して閉じることなく、より大きな全体と原理を共有することによってつながっていく。そんな関係があってもよいのではないか。そういう環境の連続性のあり方を探りたいと考えた。

NBK関工園 MEMEセンター&元気亭

NBK Genki-tei and MEME center

Small complex with a wood and steel composite structure

受賞:1998年中部建築賞 / 第五回岐阜県21世紀ふるさとづくり芸術賞優秀賞

所在地:岐阜県関市

用途:事務所・福利厚生施設

構造設計:TIS&PARTNERS

設備設計:総合設備計画

構造規模:鉄、木造、RC壁の複合構造2階建

敷地面積:71,876.5

建築面積:342.25

延べ床面積:395.83

施工:土本建設

竣工:1997.3

​*********以下、詳細**********

所在地 岐阜県関市倉知向山

主要用途 事務所・福利厚生施設

設計

建築・監理

大野秀敏+ アプル総合計画事務所 担当/清水二郎 郷田修身

構造 TIS&PARTNERS 担当/今川憲英 大内彰(元所員)

設備 総合設備計画 担当/遠藤二夫 若松宏

施工

建築

土本建設 担当/熊崎邦孝 西部孝人 高田潤

空調 松波水道ポンプ工業所 担当/岩田政幸

電気 酒井電気工事 担当/藤出孝彦

造園 岐阜造園 担当/船橋恵一

金物製作 鍋屋工業 担当/佐藤雅英

 

面積

敷地面積71.876.56m2

建築面積342.25m2

延床面積395.83m2

各階面積

MEMEセンター:1階 134.52m2

元気亭:1階201.20m2/2階 60.11m2

建ぺい率0.47%

容積率0.55%

階数 地上2階

寸法

最高高 7,120mm 軒高 7,000mm

天井高 事務室(MEMEセンター):3,250mm ジム(元気亭):2,300~3,000mm 娯楽室(元気亭):2,500mm

主なスパン 1,000mm×6,000mm

地域地区 区域外地域 防火無指定地域

構造 鉄筋コンクリートブロック造 鉄骨造

杭・基礎 直接基礎(布基礎) 杭基礎(深礎)

空調設備 空調方式 空冷ヒートポンプAC方式

熱源

電気

衛生設備

給水 敷地内配水管(加圧給水方式)より引き込み

給湯 ガス給湯器

排水 汚水雑排水合流方式

電気設備 受電方式 低圧受電方式1φ3W200/100V 3φ3W200V(既存電気室より)

設備容量 8GkW

防災設備 排煙 自然排煙

設計期間 1996年1月~1996年9月

施工期間 1996年川月~1997年11月

外構

植栽 

舗装 中庭:インターロッキングプロック+芝生ボーダー アプローチ:豆砂利洗出およびアスファルト舗装

◆MEMEセンター

外部仕上げ

屋根 シート防水 一部塗布防水

外壁 型枠コンクリートブロック撥水剤塗布

開口部 アルミサッシュ(アルマイト色) スチールサッシュ(フッ素樹脂塗装)

屋根 集会室:アクリル防水 アスレチックジム:シート防水一部塗布防水

外壁 型枠コンクリートブロック撥水剤塗布 一部スサ入モルタル塗

開口部 アルミサッシュ(アルマイト色) スチールサッシュ(フッ素樹脂塗装)

内部仕上げ

床 Pタイル(OAフロア)

壁 シナ合板 ウレタン艶消塗装

天井 シナ合板 キシラデコール塗布

◆元気亭

床 ナラフローリング(直張および二重床) 娯楽室:カーペット

壁 型枠コンクリートブロック シナ合板 ウレタン艶消塗装 EP

天井 アスレチックジム:シナ合板キシラデコール塗布 構造用集成材(L.V.L)現し ラウンジ:鉄板 t=4.5mm FP 娯楽室:シナ合板 ウレタン艶消塗装EP

外部仕上げ

屋根 シート防水 一部塗布防水

外壁 型枠コンクリートブロック撥水剤塗布

開口部 アルミサッシュ(アルマイト色) スチールサッシュ(フッ素樹脂塗装)

屋根 集会室:アクリル防水 アスレチックジム:シート防水一部塗布防水

外壁 型枠コンクリートブロック撥水剤塗布 一部スサ入モルタル塗

開口部 アルミサッシュ(アルマイト色) スチールサッシュ(フッ素樹脂塗装)

内部仕上げ

床 Pタイル(OAフロア)

壁 シナ合板 ウレタン艶消塗装

天井 シナ合板 キシラデコール塗布

◆元気亭

床 ナラフローリング(直張および二重床) 娯楽室:カーペット

壁 型枠コンクリートブロック シナ合板 ウレタン艶消塗装 EP

天井 アスレチックジム:シナ合板キシラデコール塗布 構造用集成材(L.V.L)現し ラウンジ:鉄板 t=4.5mm FP 娯楽室:シナ合板 ウレタン艶消塗装EP

特記仕様

施主製作金物 アルミキャストプラケット:書棚 スリッパ棚 傘立日除けルーバー 取っ手 押棒

ラウンジおよび浴室屋根(鉄板加工)

​撮影:*以外すべて北嶋俊治/アーキフォト (*:新建築写真部)

bottom of page