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NBK関工園事務棟・ホール棟

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南側全景。*1

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配置図ドローイング。

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​人工池ごしにヴォールト屋根の架かる事務棟北側を見る。*1

新建築 1992:10文章
鍋屋工業(NBK)は、プーリーやカップリングを主とした動力伝達機器の専門メーカーである。その主力工場である関工園は岐阜県関市の郊外の山あいに造成された敷地に立地する。

各務原市内よりこの地に工場を移転して18年間事務部門は工場建屋の中にあったが、創業430年,会社設立50周年を期して新しく事務棟が建設された。あわせて各種の社内行事や音楽コンサートなどの文化行事の場としてホールも付設された。新事務棟はエ場の管理事務諸室(事務関係社員約40名)と社員全員(約130名)のための食堂から構成されている。ホールは音楽専用を前提とする音響設計がなされ、約120名を収容する平土間形式となっている。

この計画で特筆すべきは、岡本社長によって「工園」と名付けられているように(工場公園=Garden Factory の短縮形),環境整備のグランド・コンセプトとしてランドスケープが暗示されていたことである。実際,構内の電線の地中化や緑化などが既に実現している。その他にも,社員の制服(スニーカーにトレーナー)や床材に対する明確な要求(木質系の床)など経営者側の明瞭な環境イメージによって明確な設計の輪郭が与えられた。

 

(大野秀敏)

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​ホール棟へとつづく斜路をテラスより見る。*1

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東側外観。*1

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ホール棟内部。2階レベルがホール入口となっている。*1

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ホール棟は120名収容し、社内行事や音楽コンサートが催される。*1

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新建築 1992:10文章

現実の建築にはおよそ「更地」などというものはない。更地はモダニストのスケッチブックの中にしかない。設計行為は先行して存在する<場>に対する<干渉>と考えるべきである。以下の図と解説はこの設計の中で試みられたいくつかの<場>に対する<干渉>の方法である。

 

架構

事務室や食堂は自然に向かって軽快に開きたい。ヴォールト屋根を支える構造体は横力を負担するRCの門型のラーメンと軸力だけを受ける139.8pの鋼管柱(内部に堅樋を収めている)に役割を分担している。ホールでは逆にコンクリートの壁によって音響的に閉鎖的な場をつくり、内部に鋼の櫓を組み上げ、アリーナと周辺の間に柔らかい関係をつくり出している。

 

地形・疑似地形

関工園のグランド・コンセプトはランドスケープである。だからこの建物の骨格は地形と植生に委ねられている。主要な建物の位置は地形のエッジによって選ばれた。さらに池の東に突き出た舌状の台地端に円筒形のホールが置かれ。この微地形を強調すると共に、外部からのアプローチのランドマークとしている。従前の地形に呼応して内部の床には7つのレベルが取られている。そのため、視線は常に緩やかに下降したり上昇したりし、2階建てでありながら豊かな空間的変化が生み出されている。また。ホールにアプローチする三角形のスロープや東と南のエッジを囲う上手、あるいは入口の前面に広がる人工池などのような疑似地形も導入され、必ずしも豊かとはいえない(これも元は造成された地形であるが)自然地形を補い。かつ強調している。

 

屋内・覆われた屋外・屋外

設計行為を、先行して存在する<場>に対する<干渉>であると認識すると、もはや建築の外部と内部という区分は二次的なものとなってしまう。ランドスケープ・アーキテクチュアとはこのことの表明である。ここでは、自然地形,植生,疑似地形,人工物(建築)が共働して敷地周辺を含むく場>に働きかけさまざまな領域をつくり出し、そこに多様な関係を取り結ぶことが企てられている。平面図での単純化された輪郭はこのような主旨に一見相反するようにみえるが、実は単純な輪郭ほど多義的な読み取りを可能にするのである。

 

重層する境界

関工園は山あいに造成された敷地に立地し、東西南の三方の里山に抱かれ、北側に開けた地形にある。敷地は南北に長い形状であることもあって、この敷地には山に向かい。同時に工場の奥に向かう非常に強い軸が存在する。この軸に直行する方向に幾重にも薄い層を設定していくことは、敷地の<場>の力を引き出し強調することである。ひとつひとつの層は隣接する場相互の多様なコミュニケーション・チャンネルをもつく柔らかい境界>でなくてはならない。このとき、層と層の<近接性>がとりわけ重要な意味を帯びてくる。

 

視線による縫い取り

断片化され離れた領域は、注意深く穿たれた開口を貫く視線によって縫い合わされ、引き付けられる。その結果、ひとつの視野の中に異種の行動場面が重ね合わされ、記憶の中で再び統合されていく、視線は内部空間や庭にだけにとどまらず、敷地周囲の風景にまで伸びていき、わずか2,000mlの建物の中にその何倍もの領域が引き込まれる。また、低く伸びるこの建物の中に垂直の方向性を現出させるために開口の高さがコントロールされ,視線をわずかに上向きや下向きに導いている。土手によって閉ざされた視線は2ヵ所の土手の切れ目を抜けると開放される。北に向かって上昇するホールのアプローチ路は近くの家並みを隠し。彼方の山並みや空に視線を導き、この場を大きな景観の中に浮遊させる。

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​事務室北側のガラスブロック。*1

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南側にある職員用入口。*1

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断面図

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立面図

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エントランスホールより人口池を見る。*1

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2階会議室。*1

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1階事務室。*1

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2007年に食堂棟を増築した。*2

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2007年食堂棟増築の内観。*2

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2007年食堂棟増築の断面詳細図。

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2007年ホール棟を岐阜現代美術館のための障子ユニット展示壁面を設置。*2

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2007年岐阜現代美術館のための障子ユニット展示壁。移動できる展示壁面。*3

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2007年岐阜現代美術館のための障子ユニット展示壁図面。

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2007年地下部分の会議室を改修。*2

所在地 岐阜県関市倉知向山

主要用途 事務所 食堂 講堂

 

設計

大野秀敏+アプル総合計画事務所 担当/清水二郎 武藤かおり 協力/横山元

構造 花輪建築構造設計事務所 担当/花輪紀昭 岩岡幸弘

設備 総合設備計画 担当/遠藤二夫 若松宏 千田信義

音響設備 永田穂建築音響設計事務所 担当/池田覺 浪花克治

 

施工

建築 清水建設名古屋支店岐阜営業所 担当/浅野生郎

空調/三機工業

衛生/朝日設備工業

電気/卜ーエネック

その他

土本建設 岐阜造園

 

面積

敷地面積 71,876.54m2

建築面積 1,475.23m2

延床面積 2,023.76m2

事務棟 1,564.04m2 ホール棟:459.72m2

建ぺい率 15.3%

容積率 16.2%(既存工場床面積含む)

階数 地下1階 地上2階

 

寸法

階高 1階(ヴォールト部):4,311mm

天井高 事務室1:2,950~3,997mm

主なスパン 6,000mm×8,000mm

地域地区 区域外地域 無指定地域

構造 鉄筋コンクリートラーメン構造 一部鉄骨造

杭・基礎 PHC杭

空調設備 空調方式 単一ダクト方式(5系統) 空冷ヒートポンプエアコン(マルチ型)

熱源 空冷ヒートポンプチラー

衛生設備

給水 敷地内加圧給水管より引込み

給湯 局所方式

排水 汚水・雑排水分流式

電気設備

受電方式 普通高圧一回線受電

設備容量 525kVA(工場は除く)

契約電力 650kVA(工場を含む)

防災設備

消火 消火器

排煙 自然排煙方式

特殊設備 池漉過設備

 

設計期間 1989年8月~1991年2月

施工期間 1991年3月~1992年5月

◆事務棟

外部仕上げ

屋根 ステンレス素地長尺屋根(巻キハゼ工法)

外壁 コンクリート打放し ウェテキシS塗布 モルタル薄塗の上ナプコホワイト

開口部 スチールサッシュ(フッ素樹脂塗装) アルマイト色アルミサッシュ

 

内部仕上げ

エントランスホール

床 セラミックタイル300角

壁 コンクリート打放し

天井 珪酸カルシウム板 t=8mmジョイント工法 EP 一部アルミスパンドレル

事務室1

床 鋼製下地ブナフローリング t=15mm フロアキーピング塗布

壁 コンクリート打放し

天井 珪酸カルシウム板 t=8mm(一部有孔珪酸カルシウム板)ジョイント工法 EP

事務室2

床 鋼製下地ブナフローリング t=15mm

フロアキーピング塗布

壁 コンクリート打放し 一部PB t=12mm(LGS下地) EP

天井 PB t=9mm 岩綿吸音板 t=9mm

事務室3

床 ネットワークフロア カーペット

タイル t=7mm

壁 PB t=12mm ジョイント工法 EP

天井 PB t=9mm 岩綿吸音板 t=9mm

社長室・応接室

床 ウールカーペット t=7mm防煙品

壁 珪酸カルシウム板 t=8mm下地 クロス 一部アルガンティコ仕上げ PB t=12mm EP

天井 不燃PB t=12mm EP

会議室

床 ウールカーペット t=7mm防煙品

壁 PB t=12mm EP 一部珪酸カルシウム板下地クロス

天井 不燃PB t=12mm EP

社員食堂

床 Pタイル

壁 PB t=12mm ジョイント工法 EP コンクリート打放し

天井 珪酸カルシウム板 t=8mm(一部有孔珪酸カルシウム板)

◆ホール棟

外部仕上げ

屋根 躯体防水 無収縮コンクリート (デンカCSA) タケイ式進化 コンクリート

外壁 コンクリート打放し ウェテキシS塗装 一部檜小巾板貼 キシラデコール塗布

開口部 アルマイト色アルミサッシュ

 

内部仕上げ

ホワイエ

床 ウールカーペット t=7mm防煙品 一部御影石JB

壁 コンクリート打放し

天井 PB t=12mmジョイント工法 EP

アリーナ

床 鋼製下地ブナフローリング t=15mm フロアキーピング塗布

壁 コンクリート打放し 一部ナラ練付ベニアパネル UC

天井 コンクリート打放し格子梁 梁底あらわし グラスウールマット t=50mm 一部PB t=12mm EP

外構 ゲート・斜路:コンクリート砕石洗出し コンクリート金ゴテ

人工池:ウレタン防水リムスプレー 中庭:豆砂利洗出し平板

職員通路:タイル150角 コンクリート(ハケ引き)鋪装 植栽:芝生 笹 雑木

撮影:*1 新建築写真部

撮影:*2 北嶋俊治/アーキフォト

撮影:*3 山本真也(アプルデザインワークショップ)

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