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K-town

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K-town A,B街区

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K-town C街区

ファスニング事業とAP(建材)事業を展開するYKKグループは、本社機能の一部を製造・開発の一大拠点がある富山県黒部市に移すと同時に、市内で様々な取り組みを進めている。K-TOWN整備はその一環の事業であり、単身社員ための100戸の社宅である。

敷地は、あいの風とやま鉄道(旧JR北陸本線)黒部駅前である。YKKが、駅前でありながら発展していなかったこの地をあえて選択した理由の一つは、中心部の活性化に企業市民として貢献することを意図してのことであった。これに、まちなかという立地条件を加味してあるべき寮の姿を探求すると、「寮」の概念の解体に向かうことになった。通常の「寮」では、居室と様々な共用諸室の複合施設として団地を形成して、まちから隔絶されている。これに対して、K-TOWNでは、居室部分を4戸で一つの小規模共同住宅とし、まちなかに分割して配置し、共用施設(K-HALL)は単独にまちなか施設とすることであった。この思想は敷地計画においても踏襲され、各ユニットは基準法上の独立した建築物とした。これによって、将来、各ユニットを独立して処分することも改変することも可能になる。

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街を縫うように配置された黒部駅前のK-town ABC街区。駅前には共用施設であるK-HALLがある。

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K-town A,B街区

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K-town C街区

敷地は、A・B街区とC街区で大きく異なる。前者は小規模宅地を寄せ集めたもので、輪郭線も不整形で隣家も迫っている。一方後者は、工場敷地の一部で、まとまった整形敷地である。その結果、住戸配置とボリュームも対照的になる。前者では控えめに周りの住宅や施設と協調的に扱い、都市的な外部空間を抱え込んでいる。後者では豊かな植栽のなかに片流れ屋根の「家」が自由に配置される。この二つを都市における環境形成の方法という観点から見ると、C街区は、敷地を白地のカンバスと見立てて理想像を自由に描く「開発」モデルであり、A・B街区は、周辺に敬意を払いながら一体となって環境を形成する「介入」モデルである。成長する時代には前者が追求されたが、縮小する日本の都市に今求められるのは後者であろう。

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K-town A,B街区は外断熱RCフレームに木造壁樹脂窓の建築構成。4戸で1つの建物としている。

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K−TOWNの住棟には、共通条件として同社の住宅用高断熱樹脂窓と外断熱の組み合わせで高い環境性能が求められた。A、B街区では防災的観点からRC造とし、C街区は住宅用窓の活用という点から木造とした。いずれも二戸(一戸の床面積約30m2)のフラットを積んで二層とし、それぞれの住戸を折ることで外部空間を抱え込み、隣家や他のユニットと近接しても一定の空隙を確保できる形態を探求した。RC造のA、B街区では戸境壁と床の一部を木造とし、将来メゾネットにも60m2のフラットにも、そして全部繋げて120m2の戸建て住宅にも改修できるようにしてある。それにあわせて窓周りを木造としてSI的な対応をしている。

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K-town A,B街区。外断熱された室内はRC打ち放しに白色塗装としている、窓部分の木造壁はシナ合板の内装としている。

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K-town A街区 全体配置図。将来、一棟一棟 売却や用途変更できるよう、敷地境界線で分割しそれぞれで確認申請を通している。

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K-town C街区。

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K-town C街区 模型。

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K-town C街区 緑化金網に囲まれた共用外部階段。

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K-town C街区 2F個室 屋根勾配を内装天井とした白色のインテリア。

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作品タイトル K-TOWN

 

所在地 富山県黒部市天神新

主要用途 共同住宅

建主(発注者,事業主体,クライアント) YKK株式会社

設計─────────────────

建築・監理 アプルデザインワークショップ

      担当/大野秀敏 江口英樹 [A/B]山本真也 高野菜美 [C] 罍彩子

構造 MID研究所

   担当/加藤征寛 牧聖也

設備 総合設備計画

   担当/若松宏 吉岡聡史 兵道哲

施工─────────────────

建築 第一建設 [A/B/C]

   担当/山森俊範 松田洋介 橋本大雅

   カネタ建設 [C]

   担当/鷹澤友昭 松川亮

   共和土木 [C]

   担当/嶋﨑誠

   廣川建設工業 [C]

   担当/宝泉宣之

空調 [A/B/C] 吉枝工業 [C] 丸八

衛生 [A/B/C] 吉枝工業 [C] 丸八

電気 [A/B/C] 中西電気 [C] わたなべ電装

規模─────────────────

各街区面積 [A] 2340.31 m2 [B] 1524.93 m2 [C] 8065.17 m2

各敷地面積 [A/B] 226.21〜326.93m2 [C] 225.05〜354.07m2

建築面積 [A/B] 78.17m2 [C] 73.74m2

延床面積 [A/B] 149.66m2 [C] 141.36m2

1階 [A/B] 72.90m2 [C] 73.74m2/2階 [A/B]76.76m2 [C] 67.62m2

階数 地上2階

 

寸法─────────────────

最高高 [A/B] 5857mm [C] 8194mm

軒高 [A/B] 5530mm [C] 8014mm

階高 [A/B] 2765mm [C] 101号室102号室:2835mmまたは3555mm

天井高 [A/B] 居室:2300mm 洗面・トイレ:2050mm

    [C]

        101号室:2200mmまたは3155mm

    102号室:2435mmまたは2965mm

    201号室:1800mm〜3729mm(勾配天井)

    202号室:2000mm〜2942mm(勾配天井)

主なスパン [A/B] 3550mm [C]3185mm

敷地条件─────────────────

地域地区 近隣商業地域(A/B) 工業地域(C) 準防火地域 都市計画区域内

道路幅員 敷地毎に異なる

駐車台数 [A] 6台 [C]72台

構造─────────────────

主体構造 [A/B]鉄筋コンクリート造 [C]木造

杭・基礎 {A/B}布基礎 [C]ベタ基礎

設備─────────────────

環境配慮技術

大黒壁(地下水を利用した放射冷暖房システム A1棟 B5棟に設置)

空調設備

空調方式 ルームエアコン

熱源 電気

衛生設備

給水 直結給水方式

給湯 ガス給湯器

排水 公共下水道合流方式

電気設備

受電方式 低圧受電方式

防災設備

消火 消火器

排煙 自然排煙

その他 住宅用火災警報器

 

工程─────────────────

設計期間 [A/B] 2014年4月〜2015年9月 [C]2015年12月〜2016年8月

施工期間 [A] 2015年9月〜2016年7月 [B] 2016年3月〜2016年12月 [C]2016年9月〜2017年4月

 

外部仕上げ─────────────────

(メーカー名,製品名をご記入下さい)

[A/B]

屋根 シート防水(住べシート防水:サンロイドDN防水システム)

外壁 RC湿式外断熱工法 左官櫛引仕上げ(Sto:Sto Therm Classic)

ガルバリウム鋼板たてはぜ葺き(日鉄住金鋼板:二スクカラー)

開口部 樹脂サッシ(YKK AP:APW330シリーズ)

断熱アルミサッシ A街区(YKK AP:YDEX-70)

    高断熱玄関ドア B街区(YKK AP:VENATO)

[C]

屋根 ガルバリウム鋼板たてはぜ葺(セキノ興産:S&W工法)

   折板屋根(セキノ興産:SV-7型)

外壁 ガルバリウム鋼板たてはぜ葺き(セキノ興産:S&W工法)

   左官櫛引仕上げ(StoJapan:Holz Therm)

開口部 樹脂サッシ(YKK AP:APW330シリーズ)

    高断熱玄関ドア(YKK AP:InnoBest D50)

[共通]

外構 インターロッキングブロック(小松精練:グリーンビズ)

   透水コンクリート(フッコー:ドライテック)

内部仕上げ─────────────────

(メーカー名,製品名をご記入下さい)

LDK

床 複合フローリング(大建工業:MYフロア)

  長尺塩ビシート(東リ:フロアリュームプレーン)

壁 [A/B] コンクリート打ち放し モルタル薄塗り補修の上EP [C]ビニルクロス(リリカラ:LIGHTシリーズ)

天井 A/B] コンクリート打ち放し モルタル薄塗り補修の上EP [C] ビニルクロス(リリカラ:LIGHTシリーズ)

洗面・トイレ・脱衣室

床 長尺塩ビシート(東リ:フロアリュームプレーン)

壁 [A/B] コンクリート打ち放し モルタル薄塗り補修の上EP [C] ビニルクロス(リリカラ:LIGHTシリーズ)

天井 [A/B] 防水PB, EP [C] ビニルクロス(リリカラ:LIGHTシリーズ)

主な使用機器─────────────────

キッチン(サンワカンパニー:MUJI+KITCHEN)

レンジフード(サンワカンパニー:ミニマル)

洗面器・洗面台(TOTO:マーブライトカウンター)

トイレ(TOTO:ネオレストDH)

ユニットバス(TOTO:[A/B] RDシリーズ [C] サザナTシリーズ)

賃料・ユニット面積────────────────

住戸数 A街区 4戸x6棟

    B街区 4戸x5棟

    C街区 4戸×14棟

住戸専用面積 [A/B] 131.54m2 [C] 114.24m2

─────────────────撮影:北嶋俊治

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