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東京農業大学富士畜産農場研修センター

Training Center at Tokyo University of Agriculture Fuji Zoo Technical Station

A circle inscribed in the meadows

ランニング・ウォール   

 敷地は、富士山の西側の裾野朝霧高原にある同大の広大な教育農場のなかにある。この研修センターは、農場の入口近くに集中する管理施設、研究施設、畜舎等が集まるいわば中心地区の一角に計画されたが、このセンターだけ唯一牧草の標本栽培されていた傾斜地が充てられた。背後には植林された檜の樹林があり、車廻し付近からは樹林越しに富士山が見えるが、樹林に近いこの建物からは富士山が直接のぞめない(今後造園の見直しが予定されている)。また、樹林は農場の敷地境界でもある。

当センターの主な使用目的は留学生、外国人研修生のための研修中の宿泊と教職員と父兄会の保養施設である。そのために宿泊室と共用施設として食堂兼研修室および厨房が要求され、予算の範囲内で最大限の収容数の確保が望まれた。そのため設計はローコストが前提となり、テーマは共用部分の面積を押さえ込んだなかでいかに空間性を獲得するかということになった。

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この建物の北西側に畜舎が並び、風向きによってはかなりの悪臭がもたらされるので、宿泊室は原則として南東向き、即ち樹林側に主開口を開く片廊下式の配置が導かれた。また、傾斜地であり、国立公園内の建物の高さ規制から2階建てか平屋が条件となった。
幾度かのエスキースの末、丘陵を走る木製の壁(running wall) がイメージされた。それは、地形に沿って起伏しながら地平の彼方まで続く牧場の垣である。この壁に沿って廊下と各宿泊室が並ぶ。壁に仕切られた北西側はこの中心エリアの裏手に広がる広大な牧草地を象徴し、壁の南東(樹林)側は檜林の足元の湿り気を帯びたひめやかな空間を閉じ込める。これがこの建物の領域構成である。
単調な片廊下型配置は、円弧状に平面形を曲げられ、敷地の傾斜にあわせて建物の床を部屋毎に違えてゆくことによって、視線の複雑なからみあいが織り上げられ、移動に従って視野が移り変わってゆく変化が生まれてきた。この傾斜した廊下を登ったり下ったりするとき、足の裏は地形を感じとる。また、建物を地形にあわせることは、地中梁の成を最少にし、土の移動も最小限にすることができコストダウンにもつながるという副次効果もある。
一方、極座標系は幾何学の拘束が強すぎ、どうしても部分が全て扇型の相似形になり単調になってしまう。そこで、二階は意図的に一階の極座標系をはずした不整形な幾何学を与え、両者を強引に重ね合わせている。二階の形と屋根の分節もズレがあり、この二重のズレが空間にテンションを与えることがもくろまれている。

location:静岡県富士宮市 / Fujinomiya, Shizuoka

completion date:1990.4

principal use:大学研修センター、宿泊施設 / Seminar House

client: 学校法人 東京農業大学

structural engineering:花輪建築構造設計事務所

mechanical and electrical engineer::総合設備計画

landscape architect:アプル総合計画事務所

contractors:大成建設横浜支店

number of stories:地上2階

structure:RC、一部鉄骨

site area:321454.71

building area:416.73

total floor area:486.23

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